コラム

2023.07.13

事務局コラム(傍聴日記)

 

事務局コラム(傍聴日記)

 

事務所に入所して三か月の事務員が書いた裁判の傍聴コラムです。

 

「未払賃金等請求事件」(原告:A氏、被告:株式会社B)

 

筆者は他の事件も傍聴していた為途中からの入室で既に裁判(尋問)は行われていた。

 

原告の復代理人が証拠について被告側の証人(株式会社Bの代表と思われる(男性70歳くらい))に事実確認をしながら証人がその質問に応じる。裁判官からも証人に対して質問があった。

 

裁判官:「御社では残業はどういった定義ですか?」

証人:「えっと・・・それは・・・ですから・・・それは曖昧で・・・」

裁判官:「証拠にも提出されている通り社員の他の方で10時くらいに出社されている人がいますが始業は9時ではないんですか?」

証人:「原則は9時です。ただ前もって申し出があれば認めていました」

裁判官:「それでは皆が比較的自由に出社時間を変えれたということですか?」

証人:「いえ、あくまでも原則は9時です。なので稀です・・・」

 

証人の応答は終始不明瞭かつもたついていた為原告代理人はピリピリしている印象でした。

 

裁判官から証人に対して乙号証(陳述書)の確認、証人がその質問に応じる。

 

証人は席に戻った。

 

今度は原告側の証人(男性20代くらい)が証人尋問席?に着席。

 

原告復代理人が証人に質問をし、証人がそれに応じる。

 

被告代理人が原告側の証人に証拠に基づき質問し証人がその質問に応じる。

 

原告復代理人から原告側証人へ質問

 

裁判官から原告側証人への確認及び質問

 

裁判官:「あなたはこの週報を何故適切な流れに沿って出さなかったんですか?」

証人:「送るのを忘れていて後からでもいいので出してくださいと言われ出しました」

裁判官:「あなたは正社員と業務委託社員の違いはきちんと分かっていましたか?」

証人:「いえ、よく分かっていないで働いていました」

裁判官:「仕事は基本的に1人でやっていたのですか」

証人:「はい、そうです。ただ他の方の手伝いもしていました」

 

裁判官:「勤務時間は何時から何時までですか?」

証人:「9時から5時です」

裁判官:「必ず9時に会社にいましたか?」

証人:「現場に直行の時もありました」

 

証人は席に戻る

 

最後に裁判官から証言はまとめられるかの確認に対して被告代理人はまとめられますと回答。

 

調書のできる見込みや書面の提出期限等の確認した。次の弁論期日の確認。和解の話し合いの確認。

 

傍聴をした率直な感想は、原告側の本人がお金も時間もかかる裁判を提起したのにも関わらず、本人は弁護人任せといった印象が強く、本当に賃金の未払い分を回収したいのかが分かりませんでした。会社対従業員の事件では従業員が弱い立場にあるため従業員側が勝訴するイメージがありましたが本件では本人があまり熱心ではなかったので裁判官への印象も良いという訳ではなく原告側の完全勝訴は難しいのかなと感じました。今回の事件は会社側と従業員に関する案件なので比較的分かりやすく、また興味深くとても勉強になりました。

2021.03.04

チェリーパイにアイスクリームを載せてはいけない

 <アメリカ合衆国カンザス州,今は法律自体廃止>

カンザス州では,法律上,チェリーパイにアイスクリームを載せることが禁止されていました。起源は不明確であり,また現時点では法律自体廃止されている,とのことです。

また,今まで一度も違反によって摘発された例もないとのこと。

2019.09.13

TOB(株式公開買付け)とは<ヤフー・ZOZO>

TOB(株式公開買付け)とは <ヤフー・ZOZO
(第3回コラム 銀座得重法律事務所)
 
つい昨日,ヤフー株式会社が,株式会社ZOZOに対し,「株式公開買付け(TOB)」を行うことを発表しました。この「株式公開買付け(TOB, Take Over Bid)」とはそもそも何か,かいつまんで解説します。
 

1 「株式公開買付け(TOB)」とは

法律の文言をそのまま引用すれば,「株式公開買付け」とは,不特定かつ多数の者に対し,公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等の申込みの勧誘を行い,取引所金融商品市場外で株券等の買付け等を行うことを言います(金融商品取引法第27条の2第6項)。
今回の件に限って言い換えると,ある者が,不特定多数の株主に,株式を買います,売ってくださいとお知らせすることです。
 

2 なぜTOBを行ったのか

これだけでは半ページで終わってしまうので(),もう少し説明します。今回,ヤフー株式会社は,なぜTOBを行ったのでしょうか。
結論としては,ヤフー株式会社が,多くの株式を一気に取得するには,法令上,TOBを行う必要があるためです。
法令上,原則,株式保有割合の5%以上の株式を取得する場合には,TOBを行う必要があります(5パーセントルール)。もっとも,9名以下からの取得であれば,3分の1を下回る株式しか取得する予定のない場合は,TOBは不要です(3分の1ルール)。
本件では,ヤフー株式会社は,最低3分の1,最高50.1パーセントの株式取得を検討しています(同社IR)。3分の1以上の取得となると,TOBが法令上必要になりますので,今般,ヤフー株式会社はTOBを選択したこととなります。
ところで,なぜこのような規制があるかというと,3分の1を超える上場株式を取得するとなると,対象会社の経営や株価形成に行っての影響力を持つこととなり,他の株主にも情報を共有し,売却機会を提供する必要がある,という考えからです。
 

3 TOBが成立しない可能性もある

  TOBは,予め,一定の取得目標を設け,その目標に達しない場合は,取りやめることができます。
   今回,ヤフー株式会社は最低3分の1の株式保有割合を掲げております。それゆえ,もしTOBを行っても3分の1に満たない場合,同社は,TOBをキャンセルすることとなります。
   ところで,今回,ヤフー株式会社は,株式会社ZOZOの創業者である前澤氏より,保有割合30.37%の株式を取得する合意をしています(ただし,一部,例外あり)。そうすると,ヤフー株式会社は,実質,前澤氏以外から,3%の株式を取得すれば足りることとなります。
 

4 友好的TOBと敵対的TOB

本件は,二社間及び前澤氏との間で業務提携契約まで締結したうえで,TOBに及んでいることから,友好的なTOBといえましょう。
しかし,必ずしも友好的なTOBばかりとはいえません。敵対的なTOBを仕掛けられ,対象会社がポイズンピル(予め,通常の価格より安く購入できる新株予約権を株主に発行して起き,防衛時に発動)や,別の出資者(ホワイトナイト)を用意する場合もあります。敵対的買収については,そうした事案が大きくクローズアップされたときに,過去の事例を含め説明します。
 

5 なぜTOBだと値段が高くなるのか

  最近では必ずしもTOB=高価買取とはいえない事案も多いですが,一般的には,TOBの場合は通常の株式よりも値段が高くなると言われております。
  理由は様々ありますが,あるファイナンスの専門家によれば,買取希望者(出資者)は,自らの目標を達するために,通常よりも高い金額で買取ることを提示し,株主の売却意欲を駆り立てるのが大きな理由でしょう。株主にしてみたら,同じ金額であれば,目標に達しないとキャンセルのリスクがある者に売るより,取引市場で売却した方が良いに決まっております。
 

6 終わりに

気づけば少し長くなってしまった気もしますが,これでも,細かいところや本件と関係のないところはかなり割愛させていただきました。TOBについて,みなさまのご理解の一助となれば幸いです。


 

2019.07.04

事務局コラム「思いもよらない落とし穴」

年号が「令和」に代わり
新しい年号と共に新たなるスタートをなされた方 期待・希望・不安を
感じながらも毎日を頑張って過ごしている皆様
今,どんな想いでお過ごしでしょうか?
銀座得重法律事務所では,法律事務所でありながら 小さな絵画展を開催いたしました。
もちろん 無償提供。人とのふれあいを大切に考えて
口コミだけの絵画展では在りましたが大盛況に終わりました。
SNSFB・インスタグラム・のネットが便利になり,
人とのコミュニケーションも文字のみの関わりの時代。
ネットを通して知り合った方から思いもよらない落とし穴へと導かれ
一人で抱え込んでいる方はいらっしゃいませんか?
このコラムをお読みになり,銀座ブラしながら足を運んでみて下さい。
 
自称 錦織圭(笑)     
           
弁護士得重貴史が皆様の解決策にお力添え致します。


 銀座得重法律事務所 事務局

2019.05.15

「令和」は商標登録できるか(弁護士得重貴史)

 

他の語句との組み合わせによって,登録できる可能性はある。

 

元号が令和になってから,半月が経ちました。クライアントの皆様より,雑談の中で「令和」は商標登録できるのか?というご質問が多く寄せられましたので,現時点の範囲で記載いたします。

 

まず,特許庁は,現在の元号も過去も元号でも,元号単体(「平成」「昭和」「大正」など)では商品識別力がないため,商標登録は難しく,また,たとえば「平成まんじゅう」という饅頭の商標登録をする場合でも,同様に,商標登録はできないとしております。

 

特許庁「元号に関する商標の取扱いについて」

https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/trademark/gengou_atukai.html

 

一方で,特許庁は同ページで,「元号と認識されたとしても,例えばある特定の商品又は役務において使用された結果,需要者が特定の者の業務に係る商品又は役務であると認識できるに至っている場合には,識別力があるものとなりますので,商標登録を受けることが可能です(他の拒絶理由に該当しない場合に限る。)」と記載しています。

 

では,これまで,「平成」でどのような商標登録がされているのか。

 

特許庁(J-Platpat)によれば,200以上の商標が登録されております。

日本酒で「平成蔵」,また,あのアニメ映画のタイトルなど,数多く登録されております。なお,「Hey!Say!Jump」も登録されているようです。

  誰でも,「J-Platpat」のホームページから,簡易な商標検索が可能です。こちらについても,おって掲載いたします。

 

これをふまえて,本コラムのタイトルの回答をするならば,「語句との組み合わせによっては,商標登録が可能」ということになります。

 

実際,令和元年5月15日現在,「令和」関連で,23件の商標登録申請がされております。これらが商標として無事登録されるかどうか,おって報告をいたします。

【補足 商号について】

商標と混同されがちなのが「商号」,つまり会社や事業名です。

商号は,法人登記等の際に法務局等に申請するもので,一方,商標は特許庁に登録を申請する商品名やブランド名です。

現時点では,会社名や事業名においては,特に元号名を禁止するような規制は見当たりませんでした。

当事務所も,「銀座平成令和法律事務所」とすれば良かったかもしれません()