コラム

2019.05.15

「令和」は商標登録できるか(弁護士得重貴史)

 

他の語句との組み合わせによって,登録できる可能性はある。

 

元号が令和になってから,半月が経ちました。クライアントの皆様より,雑談の中で「令和」は商標登録できるのか?というご質問が多く寄せられましたので,現時点の範囲で記載いたします。

 

まず,特許庁は,現在の元号も過去も元号でも,元号単体(「平成」「昭和」「大正」など)では商品識別力がないため,商標登録は難しく,また,たとえば「平成まんじゅう」という饅頭の商標登録をする場合でも,同様に,商標登録はできないとしております。

 

特許庁「元号に関する商標の取扱いについて」

https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/trademark/gengou_atukai.html

 

一方で,特許庁は同ページで,「元号と認識されたとしても,例えばある特定の商品又は役務において使用された結果,需要者が特定の者の業務に係る商品又は役務であると認識できるに至っている場合には,識別力があるものとなりますので,商標登録を受けることが可能です(他の拒絶理由に該当しない場合に限る。)」と記載しています。

 

では,これまで,「平成」でどのような商標登録がされているのか。

 

特許庁(J-Platpat)によれば,200以上の商標が登録されております。

日本酒で「平成蔵」,また,あのアニメ映画のタイトルなど,数多く登録されております。なお,「Hey!Say!Jump」も登録されているようです。

  誰でも,「J-Platpat」のホームページから,簡易な商標検索が可能です。こちらについても,おって掲載いたします。

 

これをふまえて,本コラムのタイトルの回答をするならば,「語句との組み合わせによっては,商標登録が可能」ということになります。

 

実際,令和元年5月15日現在,「令和」関連で,23件の商標登録申請がされております。これらが商標として無事登録されるかどうか,おって報告をいたします。

【補足 商号について】

商標と混同されがちなのが「商号」,つまり会社や事業名です。

商号は,法人登記等の際に法務局等に申請するもので,一方,商標は特許庁に登録を申請する商品名やブランド名です。

現時点では,会社名や事業名においては,特に元号名を禁止するような規制は見当たりませんでした。

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