コラム

2019.09.13

TOB(株式公開買付け)とは<ヤフー・ZOZO>

TOB(株式公開買付け)とは <ヤフー・ZOZO
(第3回コラム 銀座得重法律事務所)
 
つい昨日,ヤフー株式会社が,株式会社ZOZOに対し,「株式公開買付け(TOB)」を行うことを発表しました。この「株式公開買付け(TOB, Take Over Bid)」とはそもそも何か,かいつまんで解説します。
 

1 「株式公開買付け(TOB)」とは

法律の文言をそのまま引用すれば,「株式公開買付け」とは,不特定かつ多数の者に対し,公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等の申込みの勧誘を行い,取引所金融商品市場外で株券等の買付け等を行うことを言います(金融商品取引法第27条の2第6項)。
今回の件に限って言い換えると,ある者が,不特定多数の株主に,株式を買います,売ってくださいとお知らせすることです。
 

2 なぜTOBを行ったのか

これだけでは半ページで終わってしまうので(),もう少し説明します。今回,ヤフー株式会社は,なぜTOBを行ったのでしょうか。
結論としては,ヤフー株式会社が,多くの株式を一気に取得するには,法令上,TOBを行う必要があるためです。
法令上,原則,株式保有割合の5%以上の株式を取得する場合には,TOBを行う必要があります(5パーセントルール)。もっとも,9名以下からの取得であれば,3分の1を下回る株式しか取得する予定のない場合は,TOBは不要です(3分の1ルール)。
本件では,ヤフー株式会社は,最低3分の1,最高50.1パーセントの株式取得を検討しています(同社IR)。3分の1以上の取得となると,TOBが法令上必要になりますので,今般,ヤフー株式会社はTOBを選択したこととなります。
ところで,なぜこのような規制があるかというと,3分の1を超える上場株式を取得するとなると,対象会社の経営や株価形成に行っての影響力を持つこととなり,他の株主にも情報を共有し,売却機会を提供する必要がある,という考えからです。
 

3 TOBが成立しない可能性もある

  TOBは,予め,一定の取得目標を設け,その目標に達しない場合は,取りやめることができます。
   今回,ヤフー株式会社は最低3分の1の株式保有割合を掲げております。それゆえ,もしTOBを行っても3分の1に満たない場合,同社は,TOBをキャンセルすることとなります。
   ところで,今回,ヤフー株式会社は,株式会社ZOZOの創業者である前澤氏より,保有割合30.37%の株式を取得する合意をしています(ただし,一部,例外あり)。そうすると,ヤフー株式会社は,実質,前澤氏以外から,3%の株式を取得すれば足りることとなります。
 

4 友好的TOBと敵対的TOB

本件は,二社間及び前澤氏との間で業務提携契約まで締結したうえで,TOBに及んでいることから,友好的なTOBといえましょう。
しかし,必ずしも友好的なTOBばかりとはいえません。敵対的なTOBを仕掛けられ,対象会社がポイズンピル(予め,通常の価格より安く購入できる新株予約権を株主に発行して起き,防衛時に発動)や,別の出資者(ホワイトナイト)を用意する場合もあります。敵対的買収については,そうした事案が大きくクローズアップされたときに,過去の事例を含め説明します。
 

5 なぜTOBだと値段が高くなるのか

  最近では必ずしもTOB=高価買取とはいえない事案も多いですが,一般的には,TOBの場合は通常の株式よりも値段が高くなると言われております。
  理由は様々ありますが,あるファイナンスの専門家によれば,買取希望者(出資者)は,自らの目標を達するために,通常よりも高い金額で買取ることを提示し,株主の売却意欲を駆り立てるのが大きな理由でしょう。株主にしてみたら,同じ金額であれば,目標に達しないとキャンセルのリスクがある者に売るより,取引市場で売却した方が良いに決まっております。
 

6 終わりに

気づけば少し長くなってしまった気もしますが,これでも,細かいところや本件と関係のないところはかなり割愛させていただきました。TOBについて,みなさまのご理解の一助となれば幸いです。


 

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